本記事では、2023年8月発売のPanasonic フラッグシップ完全ワイヤレスイヤホン「Technics EAH AZ80」を前フラッグシップ「Technics EAH AZ60」と比較しながら、徹底レビューします。
こんにちわ、音楽鑑賞とWEB会議で毎日ワイヤレスイヤホンをフル活用している30代営業マンのワット(@what84098237)です。
筆者は、音楽鑑賞と仕事のWEB会議でワイヤレスイヤホンを使うため、私用仕事用スマホ、PCと複数のデバイスに同時接続できるマルチポイント機能があるイヤホンを愛用しています。
Technics EAH-AZ80は、業界初の3デバイス同時接続マルチポイントに対応したTechnicsブランドのフラッグシップイヤホン。
安くない買い物でしたが、マルチポイントイヤホンを愛する筆者はつい衝動買いしてしまいました。
皆さんにもぜひAZ80のすばらしさをお伝えしたく、本記事ではAZ80を前モデルや他社イヤホンと比較しながらレビューします。
まず結論からお伝えするとAZ80は、以下のような感じのイヤホンでした。
- 音質
→非常に良い。ハウジング、振動板の剛性により、一つ一つの音の解像度が高い。大型ドライバー(10㎜)による余裕のある低音。ハーモニックチャンバーによる打楽器、ベースの弦の振動の響きが群を抜いている。 - ノイキャン性能
→強力で優秀だが、世代最強というほどではない。2020~2021年発売のイヤホンからの買い替えなら性能UPを感じられるはず。 - マイク性能
→通話時のノイスキャンセリング性能が非常に良い。騒がしい駅や屋外でも問題なく通話可能。ビジネス適正が高い。
良い点 | 悪い点 |
---|---|
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以下、詳細にレビューしていきます。
ぜひ最後までお読みください。
Technics EAH AZ80|前モデルAZ60との比較レビュー
スペック比較
スペック | AZ80 | AZ60 |
---|---|---|
ドライバーユニット | 10mm | 8mm |
振動板素材 | アルミ振動板 | バイオセルロース振動板 |
再生時間 (イヤホン本体) | 約7.0時間(ANCオン、AAC) 約4.5時間(ANCオン、LDAC) | 約7.0時間(ANCオン、AAC) ※LDAC時は情報なし |
再生時間 (イヤホン+ケース) | 約24時間(ANCオン、AAC) 約16時間(ANCオン、LDAC) | 約24時間(ANCオン、AAC) ※LDAC時は情報なし |
充電時間 | イヤホン:約2.0 時間 充電ケース:約2.5 時間 イヤホン+充電ケース(同時充電):約3.0 時間 | イヤホン:約2.0 時間 充電ケース:約2.5 時間 イヤホン+充電ケース(同時充電):約3.0 時間 |
イヤホン本体への 急速充填 | 15分の充電で70分再生 (ANCオン、AAC) | 15分の充電で70分再生 (ANCオン、AAC) |
重量 | イヤホン:約7g(片側) 充電ケース:約50g | イヤホン:約7g(片側) 充電ケース:約45g |
対応コーデック | LDAC、SBC、AAC | LDAC、SBC、AAC |
外観・フィット感
前モデルAZ60は、2万円台後半の価格帯に関わらず外観が安っぽくてダサいイヤホンでした。
AZ80はPanasonicさんが3万円台のフラッグシップに相応しく外観にも力を入れてきたことがよくわかる仕上がりになっています。
AZ80は、ケース、イヤホンともに上品で落ち着いた高級感があります。
なかなかに所有感が満たされるビジュアルです。
ケースの二を開けてみるとイヤホンは非常に取り出しやすく、満員電車の中でイヤホンを取り出す時も誤って落としてしまうことはなさそうです。
イヤーピースは丸型。
前モデルAZ60と同じく、イヤーピースにはスポンジが詰められており、耳垢がイヤホン本体に入り込むのを防いでくれます。
AZ80のイヤホン本体は、前モデルAZ60よりも小ぶりになりました。
ただ本体の大きさが小さくなったのにも関わらず、重量自体は変わっていないので重量感があります。
イヤホン本体が大きめで軽かったAZ60に比べると、AZ80のイヤホン本体は密度が大きくずっしりした印象です。
後述しますが、イヤホンの大きさ・密度の変化は、AZ80とAZ60の音質の違いに影響を与えています。
イヤホン本体の重量アップは、音質にはポジティブに働いています!
フィッティングはこんな感じです。
写真
高さがあり、ほんのちょっと耳から飛び出しているように見えなくはないですが、筆者的にはまあ許容範囲です。
AZ80のイヤホンの着け心地は、ややゆるめ。
前モデルAZ60はかなりキツめの着け心地ですが、AZ80は前モデルから系統を変化させてきています。
筆者の個人的好みでいうと、ワイヤレスイヤホンのフィッティングがゆるめの方が長くつけてても耳が痛くならないので、好きです。
着け心地がキツめのイヤホンは、移動時間が長い出張の時に途中でツラくなってきます。
音質
音質の評価は個人の主観による部分があるので、まずは筆者の音楽的趣向と再生環境、イヤホン保有歴を公開します。
音楽趣向:
・HR/HM
(Deep Purple、Metallicaが特に好き)
再生環境:
・音源/Amazon Music unlimited
・再生端末/
LDAC Xperia 10 Ⅳ
AAC iPhone SE3
- Jabra Elite 85t
- Jabra Elite 7 Pro
- Sony WF-1000XM4
- Technics EAH AZ60
- Jabra Elite 10
- Technics EAH AZ80
- Ultimate Ears/Super.fi 3 Studio
- Ultimate Ears/Metro.fi 200
- Ultimate Ears/UE700r
- SHURE/SE215
- ONKYO/E700M
- Sennheiser HD25 (ヘッドホン)
ハイエンドオーディオには手を出したことはないですが、ミドルクラスで評価の高いイヤホンは数多く使ってきました。
現在のメインイヤホンはTechnics EAH AZ80とJabra Elite 10の2つで、外出シーンによって使い分けています。
また筆者は学生時代に楽器(ドラム)をしていたので音に関して素人ではないと思っています。
少し前置きが長くなりましたが、早速レビューしていきます。
AZ80の音質ですが、まず結論を伝えると以下の通りです。
- AZ60からの音質の向上は明確に感じられる。
- 音の解像感が高く、一つ一つの楽器の音がボヤけずに分かれて聞こえる。
前モデルAZ60からAZ80に乗り換えて、音質面でまず変化を感じた点、
それはAZ80は音の解像度があきらかに向上していることです。
AZ60はイヤホンのハウジングが軽く音がよく響くが、その分音が広がって細かい部分がボヤーとする傾向がありました。
AZ80では、イヤホン本体が重くなったためか、あるいはアルミ製の振動板を採用しているためか、イヤホンから剛性のようなものを感じます。
結果として音のビビりが少なくなり、音の一つ一つの境目がよりクッキリ分かれて聴こえるようになりました。
僕は
ワイヤレスイヤホンの性能もそろそろ頭打ちでAZ60から音質にそんなに違いはないだろうなあ
と想像してAZ80を買いましたが、AZ80は前モデルから音の解像度が明確にレベルアップしていてびっくりしました。
嬉しい誤算でした
AZ80は、高音〜中音〜低音のいずれも解像度高く、かつバランス良くしっかり聴かせてくれます。
特に中音域~低音域が良いと感じますね。
バスドラムの音圧やエレキギターのピッキングの繊細な表現、ベースピッキングの強弱の表現もも良く聞き取れます。
一方、AZ80の音質はAZ60の完全上位互換かと言われると実は違います。
AZ60の音質の特徴は音の「響き」が素晴らしいことです。
ドラムであれば、打面ではなく胴体から音が響く感じ、スティックのチップ先端ののリバウンドのコントロール。
ベースであれば太い弦がビーンと響く感じ。
AZ60はこれらの音の「響き」の表現が飛び抜けていました。
これはおそらく、AZ60のハウンングがAZ80に比べて大きく、軽いことに起因していると思います。
イメージとしては、小太鼓のように軽快に響く感じでしょうか??
AZ80もハーモニックチャンバーによる打楽器の響きはイヤホンにしては非常に優れていますが、ハウジングの大きさ・重さから若干響きが抑えられている感覚があります。
AZ80はハウジングの剛性があがり、ビビリが少なくなり、音の輪郭がはっきりするようになったという進化もありますが、音の響きの面ではAZ60が若干勝っている印象です。
音の響きの面だけで評価すると、AZ60が神がかっている域とすれば、AZ80は超優秀くらいな感じです。
ドラムが前面に出てくる曲やベースがスラップの曲などではAZ60のほうが相性が良いと思います。
AZ80とAZ60を聞き比べないとわからないレベルですが・・・、一応AZ80はAZ60の完全上位互換ではない点としてお伝えしました。
2022年の覇権イヤホンSony WF-1000XM4との比較では、解像度・高音域・中音域ではAZ80の圧勝、低音域ではWF-1000XM4が若干勝るか同等といった感じです。
※ちなみに筆者は、WF-1000XM4よりもAZ60のほうが音質が上という評価をしています
AZ80の音質についての感想をまとめると
AZ80の音質は3万円台のフラッグシップの看板に偽りなし!
です。
控えめに言って素晴らしい、AZ80を購入して本当に良かったと思っています。
iPhoneで聞いても、AndroidのLDAC接続でもどちらでもAZ80の音質の良さは感じられますが、出来るならLDACでハイレゾ音源を試してもらいたいですね。
AZ80の音質面での欠点は、以下の2点だと思います。
- イコライザーを通すと音の解像度が一段階下がること
- 空間オーディオに対応していない
AZ80はイコライザー回路の動作をシンプルにして原音により忠実に近づけ「ダイレクトモード」という機能があります。
新たに採用したダイレクトモードでは、音色変化をさせるイコライザー回路をシンプルな動作とし、特にフラット特性での音の純度を高め、原音により忠実な音を再生します。
Panasonic HP
AZ80は、ダイレクトモードの音質・解像度は素晴らしいです。
ですが、ダイレクトモードの音質への貢献が結構大きく、イコライザーをオンにした際に音の解像度が下がって音質が劣化したような印象を受けてしまいます。
イコライザーを多用する方の場合、AZ80は持ち味を損ねることになりコスパが低いイヤホンになりかねないです。
AZ80とは逆に、Technics前フラッグシップ EAH AZ60はイコライザーの音の調整代が大きく、音を自分好みにトコトン調整できるイヤホンです。
原音に忠実なAZ80、自分好みの味付けに出来るAZ60と分かりやすく特徴が真逆です。
その上で、個人的にはAZ60がイコライザーで音を最大限自分好みに調整してなお、AZ80のほうが音質が上だと思っていますが、価格差を考えるとイコライザー多用派の方はAZ60を購入する選択肢もありだと思います。
解説が長くなってしまいましたが、改めてAZ80の音質の評価をまとめると以下の通りです。
- AZ80の音質はAZ60と比較し、音の解像度がはっきり分かるレベルで向上している
- 音質は、フラットよりで原音に忠実
- イコライザーを使うと音が悪くなるので、音質を自分好みにカスタマイズしたい人ならAZ60のほうがよい。
マイク性能
以下、当サイトのマイク性能チェックのテンプレに沿ってレビューしていきます。
まずは静音状態でのマイクの性能を評価していきます。
AZ60は音を大きく拾ってはくれるものの音質自体は割れた感じで決して良好とは言えませんでした。
一方AZ80は、音を大きく拾ってくれるのは当然、音質もAZ60から大幅に向上しています。
筆者は仕事で国内海外の取引先と毎週1〜2回はWEB会議を行なっていますが、AZ80であれば取引先にマイクの品質で迷惑をかけることはないと断言します。
AZ80のマイクのクオリティは、マイク性能で定評のあるJabra Elite シリーズに肩を並べるレベルです。
続いて騒音環境でのマイクのテストを行います。
テストの条件は以下の通りです。
- 脱水中の洗濯機の近くで、イヤホンで自分の音声を録音する。
- 洗濯機:Panasonic ななめドラム VX8900
- その他:ドアを閉めた脱衣所内で実施
結果ですが、AZ80は通話時のノイズキャンセリング性能は非常に高く、騒音環境を全く苦にせず通話が可能です。
- 騒がしい駅構内での通話
- 高速道路運転中のハンズフリー通話
も全く問題ありません。
Techinicsでは独自の通話時ノイズキャンセリング「Just to Voice」による通話性能を推しています。
ビームフォーミング技術や音声解析技術などの組み合わせによる、独自の通話音声処理技術を搭載。通話中の周囲のノイズと発話者の声を判別し、ノイズを低減することにより、快適な通話を実現しました。高感度発話検知マイクを搭載し、風の強い場所などでは音声信号に自動で発話検知マイクの音声を重畳、より明確な音声を伝達し、不快な音を強力に遮断します。また発話音声解析アルゴリズムを改善。話し声以外のノイズをより抑圧し、こもり感のない明瞭な声を相手に届けます。周囲のノイズに合わせて自動的に切替を行うため、操作など不要。いつでも快適な通話ができます。
Panasonic HP
実際のところ「Just to voice」はわざわざ名前をつけるだけあり凄い技術だと思います。
「just to voice」は前モデルAZ60でも使われていますが、AZ60では電話を受けてからノイズキャンセリングが効き始めるまでに3〜4秒タイムラグがあり、信頼性に若干不安があります。
AZ80では「just to voice」が大きく進化、電話を受けてからすぐに通話時ノイズキャンセリングが効き始めるので、騒音環境でも躊躇なく電話を受けられるようになりました。
なにが凄いって、本当に周囲の騒音を消し去って、通話者の声を拾ってくれるのが凄い!
続いて風が強い環境でのマイクの試験を行います。
- イヤホンをつけたまま、ドライヤーの風を顔に当てる
- iPhoneの録音アプリで音声の違いを確認する
- 使用ドライヤー:Panasonic ナノケア EH-CNA99 (ターボモード)
- ドライヤーと顔の距離:30㎝
大抵のワイヤレスイヤホンは風に弱く、この条件ではまともに通話できません。
ちなみにAZ60もこの条件では通話不可です。
ですが、AZ80は強風時も通話時ノイズキャンセリングにより、確実に声を拾ってくれます。
声の大きさは若干通常よりも小さくなるものの、ドライヤーの騒音ノイズをしっかりカットしてくれるので声がはっきり聞き取れます。
これ、実はめちゃくちゃ凄くて、完全ワイヤレスイヤホンでこの条件で通話できるイヤホンは相当少ないです。
通話用イヤホンとして、AZ80は2023年現在最強クラスなのは間違いありません。
- 快適にWeb会議をしたい
- 外出先でハンズフリーで着信を取りたい
- でもイヤホンの音質には妥協したくない
AZ80は、そんなニーズを持つあなたにとって2023年現在もっとも最適なイヤホンだと断言できます。
ノイズキャンセリング
AZ80のノイズキャンセリング性能は以下の通り。
- ノイキャンの強さは、2021年発売のWF-1000xm4と同等。高性能で優秀だが同世代最強クラスとまでは言えない。
- 音域を絞ってキャンセルするタイプのイヤホンで人の声は殆ど小さくならない。
- AZ60からはキャンセルする音域が広がり、明確に進化を感じられる。
- ノイズキャンセリング特有の耳の中の圧力を殆ど感じさせない。長時間耳栓としてつける際に良い
AZ80は、前モデルAZ60からのノイズキャンセリング性能を確実に進化させてきています。
ワイヤレスイヤホンのノイズキャンセリングには
- 全ての音域で外部騒音を打ち消そうとするタイプ
- 音域を限定して外部騒音を打ち消すタイプ
の2種類があります。
僕の保有イヤホンでは、Sony WF-1000xm4やJabra Elite 85t、7 Proのイヤホンが①
Technics AZ60が②に該当します。
AZ80は②のタイプ、音域を限定して外部騒音を打ち消す方式のイヤホンのように思えます。
このタイプのイヤホンは、打ち消す音域が限定されておりキャンセル対象外の音は割と大きく耳の中に入ってきます。
AZ80は、前モデルからは確実に打ち消す音域が広がり①に近い性能になっています。
しかし、それでも外部の音全てを軽減するという感じではありません。
特に人の声は、ほとんどキャンセルがかからず耳の中に入ってきます。
外音取り込み
AZ80の外音取り込み機能(アンビエントモード)は、前モデルAZ60から大きく改善されています。
AZ80の外音取り込み機能は、前モデルも と同じく
- トランスペアレント
- アテンション
の二つのモードから選択できます。
トランスペアレントは外音をそのまま取り込む設定、アテンションでは人を声を強調して取り込む設定です。
聴き比べてみると確かにアテンションの方がアナウンス音が大きく聞こえるような気がしますが、正直き聴き比べないとわからないレベルで、あまり違いは感じられませんでした。
トランスペアレントでは外音取り込みモード移行時に音楽再生がそのまま継続され、アテンションモードでは音楽再生が中断されます。
筆者はアテンションモードでAZ80を設定しています。
ノイズキャンセリングと外部取り込みの切り替えはイヤホン本体のタッチセンサーで行います。
ボタン操作の割り振りはアプリで自由に設定可能です。
筆者は、デフォルトのまま右イヤホンの長押しにANC⇔外音取り込みの切り替え機能を割り振っています。
前モデルAZ60の外音取り込み機能はお世辞にも高性能とは言えず、取り込んだ音がまるで電話の音のようにノイジーで、不自然さでした。
AZ80で外音取り込みでのノイズが劇的に軽減され、コンビニでの買い物などでも全くストレスなく対応が可能です。
僕は出張時は、大体イヤホンをつけたまま移動していますが、
- みどりの窓口で新幹線のチケットを買う
- 駅構内で買い物する
- 新幹線を降りて、レンタカーを借りる
AZ80の外音取り込み機能は、上記のやり取りをイヤホンを外さずに対応可能なレベルです。
AZ80の外音取り込み機能は十分実用的で高性能な部類と言えるでしょう。
一方で、他の高級イヤホンでは、イヤホンを装着していることを殆ど感じさせないレベルで外音取り込み機能が優秀なものも存在します。
筆者の保有イヤホンではJabra Elite 85tが該当します。
AZ80の外音取り込み機能はそういったトップクラスの領域には及びません。
利便性
AZ80の前モデル、AZ60は与えられた予算を全て音質に割り振ったようなイヤホンで、使い勝手が悪かったです。
発売当時の完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップならあって当たり前の機能がことごとく未搭載で、細かな使い勝手の面が行き届かない感じでした。
例を挙げると、
- 無線充電
- イヤホン検出検知(イヤホンを外すと再生が止まる)
- イヤホンケースの充電量の表示
- 密閉性確認機能
など、高級イヤホンなら搭載されていてほしい機能を一通りそろえてきています。
AZ80にはSonyのイヤホンのように
- 移動を検知してノイズキャンセリングの強度を自動調整
- 会話を検知して自動的に外音取り込み機能をオン
などの機能はありませんが、日常使っていて不便に感じることはほぼなく、必要十分な利便性が確保されていると思います。
筆者個人的はワイヤレス充電とイヤホン装着検知に対応してくれたのが本当にありがたいです。
アプリの機能
AZ80のアプリは、
- イコライザー
- ノイキャン調整
- ボタンの機能割り振り
- マルチポイントの切り替え
- 密閉性診断
- 電池残量の表示(ケースを含む)
- マイクのテスト機能
- 音声ガイダンスのカスタマイズ
などの機能があり、多機能です。
AZ60ではイヤホン本体の電池残量は表示できても、ケースの電池残量がアプリで確認できませんでしたが、AZ80では対応してきています。
他社と比べて、Technicsのアプリが優れていると感じる点は⑦マイクのテスト機能と⑧音声ガイダンスのカスタマイズです。
マイクのテスト機能では、通話時ノイズキャンセルのオンオフを切り替えながらマイクの具合を確認できるので、通話時ノイズキャンセリング機能がどのくらい効果があるのか、簡単に確認できます。
音声ガイダンスのカスタマイズのほうは地味ですが、非常に便利な機能です。
Technicsのアプリでは、ペアリングした各デバイスの音声案内の方法までカスタマイズできます。
イヤホンをケースから取り出した時に、
- スマホに接続されたのか
- パソコンに接続されたのか
- 音楽プレーヤーに接続されたのか
をアナウンス音声で判断できるのは、地味ですがめちゃめちゃ便利です。
マルチポイントをより使い勝手の良いものにしようというPanasonic設計さんの熱い気持ちが伝わって、好印象です。
電池の持ち
モデル | イヤホンのみの 再生時間 | イヤホン +ケースの再生時間 |
---|---|---|
EAH AZ80 | 約7.0時間 (AAC) 約4.5時間 (LDAC) | 約24時間 (AAC) 約16時間 (LDAC) |
EAH AZ60 | 約7.5時間 (NC有、AAC) | 約24時間(AAC) |
AZ80の電池の持ちは、A60から変化していません。
カタログスペックでは7時間の連続再生に対応していますが、これはAAC接続時のもの。
LDACやマルチポイントを使うと、より短くなります。
筆者は片道1時間の通勤(LDAC接続)+週2回程度のWEB会議でAZ80を使っていますが、ケースの充電は週一では済まないです。
イヤホン本体への急速充電も他社で一般的な5分で1時間はなく、15分で70分で少し遅め。
長距離移動の際も若干不安がありますね。
筆者は長距離移動の時はLDAC接続をやめ、AAC接続で使うようにしています。
総評:Technics EAH AZ80|AZ60との比較レビュー
ここまでレビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。
ここからはTechnic AZ80のレビューを総評していきたいと思います。
まず結論ですが、Technics AZ80は3万円の価値に見合う素晴らしいイヤホンです。
AZ80は、前モデルAZ60の欠点であった使い勝手の面が強化されています。
装着検出やワイヤレス充電、アプリの機能など、利便性を他社の高級ワイヤレスイヤホンと遜色ないレベルに引き上げてきました。
さらには前モデルではPRの割に大したことがなかったマイクの性能が飛躍的に向上。
WEB会議をしても良し、外出先でのハンズフリー通話も良しです。
さらにはTechnicdシリーズの独自の3台同時接続対応のマルチポイント機能により、私用の携帯、仕事用の携帯、パソコンやタブレットとイヤホンのBluetooth接続先を自由自在、シームレスに切り替え可能です。
トリプルマルチポイントと高性能のマイクが組み合わさることにより、ビジネスマンにとって非常に使い勝手の良い仕事用ツールに仕上がっています。
イヤホンにとって最も肝心な音質ですが、AZ80は音質も素晴らしいです。
小ぶりながらガッチリしたイヤホンハウジングとソリッドなアルミ振動板の採用により、細かな音の輪郭がぼやけにくい「音の解像度の高さ」がAZ80の特徴です。
その上で高音から低音まで、バランス良く原音に忠実に鳴らしてくれる素晴らしいイヤホンです。
LAACコーデックとハイレゾ音源を組み合わせれば、AZ80のポテンシャルが最大に発揮され、素晴らしい音を奏でてくれます。
仕事ツールとしての使い勝手と素晴らしい音質により、ビジネスマンの日々の通勤、出張、WEB会議で大いに活躍してくれることでしょう。
実際に営業マンの筆者はフルで活用してさせてもらっています!
一方で、AZ80のノイズキャンセリング性能は強力ではあるのですが、世代トップ10程度の実力で世代最強レベルにはない点が欠点と言えます。
AZ80のノイキャンは十分強力で通勤や新幹線移動で利用する分には全く気にする必要はありませんが、飛行機移動の頻度が多い方はよりノイズキャンセリングが強力なイヤホンやヘッドホンも選択肢に入るでしょう。
2023年現在、AZ80よりもノイキャンが強力なイヤホンというと相当選択肢が限られますが、まだ上がいます。
またイコライザーを使わないダイレクトモードの音質が素晴らしいため、イコライザーを使うと音が悪くなったように感じてしまう点もAZ80の欠点と言えます。
上記の総評を踏まえ、AZ80はこんな方におすすめです。
- とにかく音質の良いイヤホンがほしい
- WEB会議を頻繁に行う
- 外出や出張が多く、移動中に音楽を聴くことが多い
- 移動中に電話を取ることが多い
ただし、EAH AZ80はTechnicsブランドのフラッグシップなだけあり高額です。
一方AZ60は、AZ80の発売後、値下がりして流通価格が2万を切り、非常にコスパが高くなっています。
もし、あなたが現在お使いのイヤホンが5000~10000円クラスであれば、AZ60でも十分音質やノイキャンのレベルアップを感じることができます。
AZ60はAZ80に比べるとマイクの性能が大きく劣りますが、WEB会議をしたり、外でイヤホンで電話を取ったりする頻度が少なければ、特に気になりません。
というわけで以下の条件に当てはまる方にはAZ60をオススメします。
- 現在5000円~1万円程度の価格帯のワイヤレスイヤホンを使っている
- WEB会議の機会が多くない
- 外で電話を取る必要がない
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AZ80とAZ60M2の比較
AZ80の発売と同時にAZ60のマイナーチェンジモデル「AZ60 M2」がTechnicsブランドの完全ワイヤレスイヤホンのラインナップに追加されました。
AZ60 M2は、音質やマイク性能はAZ60と同じか若干改善された程度ですが、
- ワイヤレス充電
- イヤホン装着検知
- トリプルマルチポイント
- アプリでケースの電池残量確認
などが追加され、機能面をAZ80と同等まで引き上げたモデルです。
気になる価格ですが、2023年11月現在、初代AZ60が約19,000円、AZ60 M2が28,000円です。
個人的にはこの価格差であれば初代AZ60が魅力的だな・・・と思います。
AZ60MK2は立ち位置が中途半端なので、高性能を求めるならAZ80、コスパなら初代AZ60を購入するほうが良いと思います。